2013.07.05 (Fri)
青い鳥症候群

今まで私の楽しみは
旅を考えることばかりでしたが
家を新築してからは,
お友達呼んで
お茶飲んでおしゃべりしたり
食器揃えたり
お料理したり
観葉植物可愛がってみたり...
と,しばらく
心奪われていました。
が
どんなに魅力的なものが
傍らにあったとしても

旅は別。
やっぱり行きたいのである。
さて,
私は何故,そんなにも
旅に出たいんだろう
と,考えていたところに
胸に刺さるものを目にしました。
以下(部分的に)引用(注)。
-------
「自分探し」という

それまでの生活をリセットして
どこか遠いところに出かけてしまいたい
という若い日本人の欲望に
ジャストフィットした言葉がある。
「自分は本当は何者なのか」
「自分は本当に何をしたいのか」...
自分のことを知らない人間に
囲まれて
言語も宗教も生活習慣も
違うところに言って暮らせば
自分が本当は何者であるのか
わかる,

たぶん,
そんな風に考えている。
でも,これはずいぶん奇妙な
発想法ですね。
もし自分が何者か知りたいと思ったら
自分のことをよく知っている人たちに
ロング・インタビューしてみる方が
ずっと有用な情報が
手に入るんじゃないでしょうか。
外国の,全く文化的バックグランドの違う
ところで,

言葉もうまく通じない相手と
コミュニケーションして
その結果
自分が何者であるかがよくわかる
ということを
僕は信じません。
ですから,
この「自分探しの旅」の
本当の目的は
「出会う」ことにはなく,
むしろ
私についてのこれまでの外部評価を

リセットすること
にあるのではないかと思います。
何年か生きてくれば
どんな人でもそれなりの経験の蓄積があり
その能力や見識について
ある程度の評価が定まってきます。
この「自分探し」の方たちは
その評価に不満がある。
自分はもっと高い評価が与えられて
しかるべきである。
そう思う人たちが

「自分探しの旅」にでてしまうのです。
「自分探し」というのは
自己評価と外部評価のあいだに
乗り越えがたい「ずれ」
がある人に固有の
出来事だということができます。
でも,これは
あまりうまくゆきそうにもありません。
それは,
自分の自分に対する評価の方が
他者が自分に下す評価よりも真実である

という前提に
根拠がないからです。
自分のことは自分が一番よく知っている
というのは
残念ながらほんとうではありません。
-------
「自分探しの旅」
とまで銘打って
旅に出たことはないけど

旅にでれば
何か得られるんじゃないかと
そういう思いは常にあります。
何を得たいのかも
よくわからず
何の根拠もなく
西へ東へウロウロしている。
内田樹先生がいうように
自分のことは
他人の方がよくわかっている
というのは,
激しく同意しますが
外部評価をリセットしたいのか
といえば,
何か,違うと思う。今の外部評価がなくなると困る。 えー,私は何で旅に出たいんだー?
と叫びつつ,かなり遅れて夏休み旅行の予定を立てています。 今日の写真は,モロッコの続きでした。
注) 内田樹,「下流志向-学ばない子どもたち 働かない若者たち-」, 講談社文庫
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ここはいったいどこですか? 砂漠の中東?かな?アーティチョークですよね、これが取れるところどこだろう??
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